省略化投資補助金(カタログ型)の申請と行政書士への相談

📢 本補助金は現在も公募受付中です(令和9年3月末頃まで申請受付予定)
締切に追われる補助金ではありません。自社のタイミングで準備を進められます。

「販売事業者がやってくれる」のに、なぜ行政書士が必要なのか

中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)の導入を検討していると、機器のメーカーや販売店から、こう言われることがあります。

「補助金の申請は弊社が一緒にやりますので、お任せください」

これは嘘ではありません。この補助金は販売事業者との共同申請が制度上の必須要件であり、販売事業者には申請をサポートする責務が課せられています。

では、なぜわざわざ行政書士に別途費用を払う必要があるのか。

答えは、販売事業者が担う範囲と、自社が自分で担わなければならない範囲が、制度上はっきり分かれているからです。そして後者は決して小さくありません。この記事では、公募要領の記載に沿って両者の線引きを整理し、そのうえで当事務所がどこをお引き受けできるかをご説明します。


共同申請という仕組みと、それぞれの役割

販売事業者の責務は「製品」に関する部分

公募要領は、販売事業者を次のように定義しています。

販売事業者として登録されるためには、事前に登録された省力化製品の販売、各種サポートを行える事業者として、事務局に登録申請を行い、事務局及び外部審査委員会による審査で採択される必要がある。
(公募要領 1-2.(5))

販売事業者が登録審査で問われるのは「製品の説明・導入・運用方法の相談等のサポートを行えるか」です。つまり、製品の選定や設置、使い方の指導が本来の役割です。

申請の主体は、あくまで自社

一方、公募要領には遵守事項として、次の一文が明記されています。

交付申請は、中小企業等自らが主体となって行うこと。
(公募要領 4-3.(4)①)

「販売事業者に任せきり」は、制度の建て付けとして想定されていません。自社が主体となって申請し、自社が3年間の報告義務を負い、目標未達の場合は自社が返還を求められます。

役割分担の全体像

項目販売事業者自社
製品の説明・設置・運用指導
カタログからの製品・販売事業者の選択
事業計画の策定共同共同(主体)
人手不足要件の証明書類
決算書・納税証明書・各種名簿
GビズIDプライムの取得
賃上げ計画の策定と従業員への表明
他補助金との重複・みなし大企業等の判定
実績報告・効果報告(3年間)
目標未達時の補助金返還

ご覧のとおり、販売事業者が関与しない「自社側の作業」が申請業務の大半を占めます。しかもその多くは、自社の決算内容・雇用状況・賃金水準を扱うもので、外部の販売事業者に踏み込んでもらえる性質のものではありません。


見落とすと致命的になる4つの論点

公募要領を読み込むと、事前に判定しておかないと申請自体が無駄になる論点がいくつもあります。代表的なものを挙げます。

論点1:そもそも自社が対象外かもしれない

以下に該当すると、申請しても採択されません。

  • みなし大企業:大企業が議決権の1/2以上(または複数の大企業で2/3以上)を保有、大企業の役員・職員を兼ねる者が役員の1/2以上を占める、直近過去3年の課税所得の年平均が15億円超など
  • みなし同一法人:親会社が議決権の50%超を持つ子会社は、親子で1社しか申請できません。代表者が同じ法人も同一とみなされます。複数社で申請すると、申請した全社が要件を満たさない扱いになります
  • 他補助金との重複:ものづくり補助金の交付決定から10か月を経過していない、過去3年間に2回以上ものづくり補助金の交付決定を受けている、IT導入補助金と同じ業務プロセスに導入する、など

論点2:人手不足要件の「選び方」で審査期間が変わる

申請には、人手不足の状態にあることを以下の4つから1つ選んで示す必要があります。

  1. 直近の従業員の平均残業時間が30時間を超えている
  2. 整理解雇によらない離職・退職で従業員が前年度比5%以上減少している
  3. 採用活動を行い求人掲載したが、充足に至らなかった
  4. その他、省力化を推し進める必要に迫られている

問題は④です。公募要領は、④を選択した場合について「省力化投資の必要性をより厳格に審査するために採択結果の通知が大幅に遅れる可能性がある」と明記しています(3-2.(2))。場合によっては追加書類の提示も求められます。

「うちは①〜③に当てはまらないから④で」と安易に選ぶと、それだけで採択が数か月遅れかねません。自社の勤怠記録や求人履歴を精査して①〜③のいずれかで組み立てられないかを検討することが、実務上の分かれ目になります。

論点3:賃上げ特例は「使えば得」とは限らない

補助上限額の引き上げを受けるには、申請時と比較して次の両方を達成する必要があります。

  • 事業場内最低賃金を3.0%以上増加
  • 給与支給総額を6%以上増加

しかも、賃金引き上げ計画を申請時点で従業員に表明していることが必要です。達成できなければ補助額は減額されます。

さらに見落とされがちなのが、実績報告後の扱いです。公募要領は「報告対象期間のみ賃金を引き上げ、実績報告以降に賃金を引き下げることは認められない」とし、効果報告時点で給与支給総額または事業場内最低賃金が実績報告時点の値を下回っていた場合、補助金の返還を求める場合があるとしています(2-1.(4))。

つまり賃上げは一時的な措置では済まず、事業計画期間を通じて維持する必要があるということです。

ここで簡単な試算をしてみます。従業員21人以上の企業が上限引き上げを適用した場合、増える補助額は500万円(1,000万円→1,500万円)です。一方、給与支給総額が仮に8,000万円の企業であれば、6%増は年間480万円のコスト増となり、これが毎年続きます。

賃上げ自体は人材確保の観点から前向きな投資ですし、地域別最低賃金の上昇を踏まえれば遠からず必要になる企業も多いはずです。ただ「補助上限を上げたいから」という動機だけで選ぶと、収支が合わないケースがあることは押さえておくべきです。当事務所では、この試算を含めて適用の可否をご一緒に検討します。

論点4:申請にかかる専門家費用は補助対象外

意外に知られていませんが、公募要領は導入経費の補助対象外経費として、次を明記しています。

⑪補助金申請、報告に係る申請代行費
(公募要領 2-2.(2))

行政書士やコンサルタントへの報酬は、補助金では賄えず全額自己負担になります。だからこそ、支援を依頼する際は費用対効果が明確でなければなりません。当事務所が成功報酬を「補助額の◯%」ではなく一律金額としているのは、この理由によります。


締切に追われない制度だからこそ、準備の質が効く

この補助金の大きな特徴は、令和9年3月末頃までの間、申請を随時受け付ける点です(公募要領 1-4.)。数週間の公募期間に間に合わせるために書類を突貫で仕上げる、という他の補助金でありがちな事態が起きません。

これは裏を返せば、準備の質でしか差がつかないということでもあります。「締切に間に合ったかどうか」ではなく、「事業計画が審査の着眼点に応えているかどうか」が採否を分けます。

公募要領が示す審査の着眼点は次の2点です(4-4.)。

  • 省力化の効果が合理的に説明されており、高い労働生産性の向上が期待できるか。既存業務の省力化により新しい取組を行う・高付加価値業務へのシフトを行うなど、単なる工数削減以上の付加価値の増加が期待できるか
  • 賃上げに積極的に取り組んでいる、あるいは取り組む予定であるか

注目すべきは、「単なる工数削減以上の付加価値の増加」という表現です。「清掃ロボットを入れて月40時間削減できます」だけでは、この着眼点に応えたことになりません。空いた時間と人員を何に振り向け、それがどう売上や付加価値につながるのかを書く必要があります。

製品を売る立場の販売事業者にとって、自社の顧客企業の業務全体を見渡してこの筋道を描くのは、そもそも守備範囲の外です。


当事務所のサポート内容

当事務所は、カタログ選定から採択後の報告まで一貫してお手伝いします。着手前の調査・準備は無償で行います。

【無償】導入予定の設備がカタログ対象かを調査します

この補助金は、カタログに登録された製品しか対象になりません。すでに具体的な機器を検討されている場合、まずその製品がカタログに登録されているか、登録されている販売事業者はどこかを調査します。

あわせて、次の点も確認します。

  • その製品に紐付けられた業種が、御社の営む事業の業種と合致するか(合致しないと対象外です)
  • 登録されている業務プロセスと、実際に使う予定の業務が一致しているか
  • 既存製品の単なる置き換えになっていないか(省力化効果が得られない置き換えは対象外です)
  • みなし大企業・みなし同一法人・他補助金との重複に該当しないか

ここで対象外と判明した場合、その時点でお伝えします。費用は一切かかりません。

【無償】GビズIDプライムの取得をお手伝いします

電子申請にはGビズIDプライムが必須です(公募要領 4-2.(9))。そして実務上、ここでつまずく事業者が非常に多いのが実情です。

印鑑証明書の取得、申請書への実印押印、記載内容と登記情報の一致、審査後のアカウント設定と二要素認証の登録。どれも難しくはありませんが、初めての方には分かりにくく、不備があると審査に時間を要します。

当事務所では、この取得プロセスを画面を見ながら一緒に進めます。この支援に費用はいただきません。「補助金の申請以前に、GビズIDで止まってしまった」という事態をなくすためです。

販売事業者との連携を含め、一貫して支援します

共同申請である以上、販売事業者とのやり取りは避けて通れません。当事務所は事業者様と販売事業者の間に立ち、次の流れを通してサポートします。

  1. カタログ製品・販売事業者の選定(対象可否の調査を含む/無償)
  2. GビズIDプライムの取得支援(無償)
  3. 人手不足要件の選択と証明書類の整理(時間外労働時間、従業員減少の確認用、求人履歴など)
  4. 事業計画の作成支援(労働生産性CAGR 3.0%以上の目標設定、省力化効果判定シートの作成)
  5. 賃上げ特例を適用する場合の計画策定(試算・従業員への表明方法を含む)
  6. 販売事業者との事業計画のすり合わせ・共同申請の調整
  7. 添付書類の収集・確認(履歴事項全部証明書、納税証明書、損益計算書、貸借対照表、従業員名簿、役員名簿、株主・出資者名簿、賃金台帳など)
  8. 電子申請システムでの入力サポート
  9. 採択後の実績報告・効果報告(3年間)のフォロー

なお、公募要領が定めるとおり交付申請の主体は御社自身です。当事務所は書類作成と手続きをお手伝いする立場であり、申請を丸投げでお引き受けするものではありません。この点は最初にご説明いたします。

賃上げ特例を狙う場合の「無理のない計画」

論点3で触れたとおり、賃上げ特例は3年間の維持が前提です。当事務所では、次の順序で検討します。

  • 上限引き上げによる増加額と、給与支給総額6%増のコストを年単位で比較する
  • 省力化によって見込める人件費の効率化を織り込み、実質的な負担増を試算する
  • 地域別最低賃金の上昇見通しを踏まえ、どのみち必要になる引き上げ幅を織り込む
  • そのうえで適用するか否かを判断し、適用する場合は従業員への表明方法まで整える

「上限が上がるなら使わないと損」ではなく、数字を見てから決めるという進め方をおすすめしています。


料金

項目金額(税込)
カタログ対象可否・申請要件の調査無料
GビズIDプライム取得支援無料
着手金55,000円
成功報酬(採択時のみ)採択額の15%

成功報酬は採択決定時のみ発生し、不採択の場合はいただきません。


よくあるご質問

認定経営革新等支援機関でなくても申請できますか

できます。本補助金の公募要領に、認定経営革新等支援機関の関与を求める要件はありません。ものづくり補助金や事業承継・M&A補助金と混同されやすい点ですが、カタログ注文型では不要です。

販売事業者がすでに決まっていますが、依頼できますか

問題ありません。むしろその方がスムーズです。決まっている販売事業者との連携を前提に、自社側の書類準備と事業計画の作成をお引き受けします。

まだ製品を決めていない段階でも相談できますか

もちろんです。「人手不足を何とかしたいが、どんな機器があるのか分からない」という段階からのご相談も承ります。自社の業種・業務プロセスに紐付く製品カテゴリを一緒に探すところから始めます。

遠方ですが対応してもらえますか

全国対応しています。当事務所は神奈川県川崎市・武蔵小杉を拠点としていますが、オンライン会議と電子申請を活用し、北海道から沖縄まで対応実績があります。川崎市・横浜市、東京都大田区・品川区・目黒区・世田谷区など近隣エリアの企業様には、対面でのヒアリングや事業所訪問も承っています。

2回目の申請を検討しています

可能ですが、要件が厳しくなります。労働生産性の目標がCAGR 4.0%以上に引き上がるほか、前回の補助事業で省力化効果が得られていること、前回の交付申請時点から事業場内最低賃金を3.5%以上(2年以上経過している場合は1年ごとに+3.5%以上)上昇させていることが必要です。また、前回の補助金の支払いが完了している必要があります。該当するかどうか、まずはご相談ください。


まずは「対象かどうか」だけでもご確認ください

この補助金は締切に追われる制度ではありません。だからこそ「そのうち検討しよう」で先延ばしになりがちです。

ただ、カタログへの製品登録は公募受付期間終了の半年前程度まで、登録された製品・販売事業者の登録有効期間は令和9年9月末までとされています。制度の終盤には駆け込みが集中することが予想されます。

「導入したい機器がカタログにあるか知りたい」「うちが対象になるのか確認したい」――この段階でのご相談を歓迎します。調査は無償です。行政書士が直接お話を伺い、申請の可否と見通しをお伝えします。しつこい営業は一切いたしません。


まとめ

  • 販売事業者の責務は製品の説明・導入・運用サポート。自社の決算・雇用・賃金に関わる部分は守備範囲外
  • 公募要領は「交付申請は中小企業等自らが主体となって行うこと」と明記。任せきりは想定されていない
  • 人手不足要件の選び方、賃上げ特例の可否、他補助金との重複など、事前判定を誤ると申請自体が無駄になる論点が多い
  • 専門家費用は補助対象外。だからこそ費用対効果の明確な料金体系を選ぶべき
  • 当事務所はカタログ対象調査とGビズIDプライム取得支援を無償で行い、事業計画作成から採択後の報告まで一貫してお手伝いします

ご質問・ご相談は、お気軽にお寄せください。

※本記事は令和8年3月19日改訂の公募要領に基づいて作成しています。最新の公募スケジュール・要件は、必ず中小企業省力化投資補助事業の公式ホームページでご確認ください。