自動調色機の補助金|省力化補助金の対象7製品を比較

「調色はベテランにしか任せられない」「若手が一人前になるまで何年もかかる」「色が合わずに吹き直しになり、ブースが空かない」。鈑金塗装の現場では、調色作業の属人化がそのまま工場の処理能力の上限になっています。

この調色作業を省力化する自動調色機(自動調色システム・測色機)は、中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)の補助対象です。対象業種には自動車整備業と小売業が含まれており、鈑金塗装を行う整備工場だけでなく、要件を満たすディーラーも活用できます。

本記事では、カタログに登録されている自動調色システム7製品の特徴を一覧で整理し、補助額や申請の注意点、採択の鍵となる事業計画のポイントを、公式の公募要領と製品カタログに基づいて解説します。

自動調色システムは整備業で最も使われている対象設備

中小企業基盤整備機構が公表した「カタログ注文型 交付決定概要(2026年8月末時点)」によると、カタログ注文型全体の交付決定5,859件のうち、自動調色システムは66件でした。自動車整備業・ビルメンテナンス業の区分(186件)の中では31.2%を占め、自動車向けスポット溶接機(27.4%)を上回る最多の製品カテゴリです。66件の内訳は、自動車整備業の区分で約58件、ディーラー等の小売業で約8件です。

カタログ上、自動調色システムには次のような省力化効果が示されています。

  • 熟練者の手作業に頼っていた調色作業を自動化し、経験の浅い作業者でも近似色の配合を導き出せる
  • 経年劣化や紫外線で変化した車両の色にも対応し、修理作業時間を短縮できる
  • 配合データを蓄積・再現でき、余った塗料の廃棄や材料の無駄を減らせる

補助率・補助上限額と申請期限

従業員数補助率補助上限額大幅な賃上げを行う場合
5人以下1/2以下500万円750万円
6~20人1/2以下750万円1,000万円
21人以上1/2以下1,000万円1,500万円
  • 申請期限:令和9年(2027年)3月末頃まで随時受付
  • 補助対象経費:製品本体価格と、本体価格の2割を上限とする導入経費(設置・運搬・動作確認・初期設定など)
  • 最低額:補助額が25万円未満となる申請はできません。購入する製品本体は単価50万円以上である必要があります
  • 事前着手不可:交付決定前に購入した製品は、いかなる理由でも補助対象外です
  • 申請方法:GビズIDプライムで電子申請。カタログに登録された販売事業者との共同申請です

「大幅な賃上げを行う場合」の上限額は、事業場内最低賃金を3.0%以上、給与支給総額を6%以上増加させる計画を立て、従業員に表明した場合に適用されます。目標未達の場合は補助額が減額されます。

カタログ掲載の自動調色システム7製品の特徴一覧

以下は、省力化補助金の公式製品カタログの記載をもとに整理したものです(2026年10月時点)。「補助対象の構成」は、申請時に必ずセットで購入する必要がある品目です。

製品名メーカー補助対象の構成主な特徴置き換え可能な機能
ROCKONⅢ スペクトロフォトメーターロックペイント測色機+ロック マイコンスケールⅣ(はかり)+Dr.ROCKⅣクラウドサービスメタリック・パールの粒子感まで測定。クラウドで現車に近い配合を検索し、1回目の調色から塗装可能な色に近づけるなし
ROCKONⅢ スペクトロフォトメーター(計量器無し)ロックペイント測色機+Dr.ROCKⅣクラウドサービス上記と同じ測色・検索機能で、はかりを含まない構成なし
nax E-CUBE カラボ2 カラーセンサー日本ペイント測色機のみカメラ搭載の測色で配合情報を蓄積。サブアプリで塗料使用量を管理できるなし
彩選短スマート(micro tri effect)ライトスケールRoute連動セットイサム塗料測色機+はかりのセット経年劣化や紫外線による色の変化を考慮して配合を自動算出。はかり連動で調合済み塗料を使った配合も可能なし
アクワイヤークアンタムEFXアクサルタコーティングシステムズ測色機のみ自社データベースから近い配合を提案し、微調色にも対応。ソフトウェアは無償なし
アイラススキャンアクサルタコーティングシステムズ測色機のみ配合提案と微調色に対応。ソフトウェアは無償干渉パール塗膜測定、マット(艶消し)塗膜測定
PPG DigiMatch スペクトロフォトメーターピーピージー・ジャパン測色機+MoonWalk半自動計量システム6方向から測定し、3D画像で色を比較。MoonWalkで調合を自動化干渉パール塗膜測定

製品選びで押さえたい3つのポイント

1.どれも塗料メーカーのシステムです。測色機と各社の配合データベースを組み合わせて使う仕組みのため、普段使用している塗料ブランドとの相性が選定の前提になります。

2.すでに測色機をお持ちの場合は注意が必要です。カタログでは、置き換えの場合、「置き換え可能な機能」を新たに備える製品への置き換えのみが対象とされています。公募要領でも、既に所有する製品の置き換えで省力化効果が得られない事業は補助対象外です。7製品のうち、置き換え可能な機能が登録されているのはアイラススキャンとPPG DigiMatchの2製品です。

3.導入規模に大きな差があります。測色機単体の製品がある一方、PPG DigiMatchは半自動計量システムとのセットで、計量システム本体の横幅は285cmです。設置スペースを事前に確認してください。

ディーラー・整備工場が対象になる条件

公募要領では、導入する製品に紐付けられた業種のうち1つ以上が、申請者の営む事業の業種と合致することが要件です。自動調色システムの対象業種は「自動車整備業」「小売業」「サービス業(他に分類されないもの)」のため、整備工場・鈑金塗装工場とディーラーのいずれも業種要件を満たします。そのうえで、中小企業であることが必要です。

区分資本金常勤従業員数
整備工場・鈑金塗装工場(サービス業)5,000万円以下100人以下
ディーラー(小売業)5,000万円以下50人以下

資本金と従業員数は、どちらか一方を満たせば中小企業に該当します。ただし、同一の大企業が株式の2分の1以上を保有している場合などは「みなし大企業」として補助対象外です。自動車メーカーや大手グループの資本が入っているディーラーは、まずこの点の確認が必要です。

採択の鍵は「整備業の実態に即した事業計画」

カタログ注文型は製品を選ぶだけの簡易な制度と思われがちですが、交付申請には事業計画の提出が必要で、中小機構の審査を経て採択・交付決定が行われます。公募要領は、事業計画で次の3点を説明するよう求めています。

  1. 導入製品の使用方法
  2. 製品の導入により期待される省力化の効果(省力化効果が得られる機能・性能等)
  3. 省力化により既存業務から抽出できると期待される時間・人員の使途

さらに審査の着眼点として、「事業計画に記載の省力化の効果が合理的に説明されており、高い労働生産性の向上が期待できるか」「単なる工数削減以上の付加価値の増加が期待できるか」が挙げられています。あわせて、補助事業終了後3年間で労働生産性を年平均3.0%以上向上させる目標と、人手不足の状態にあることの説明も必要です。

つまり、「調色が早くなる」という一般論では足りません。現在の調色にかかっている時間、吹き直しの発生状況、熟練者への依存度を工場の実態から数字で示し、浮いた時間を入庫台数の増加や高付加価値作業にどう振り向けるかまで説明できるかが、採否を分けます。これは鈑金塗装の工程を理解していなければ書けない計画です。

弊所の支援内容

弊所は補助金申請支援を主力業務とする行政書士事務所で、特にディーラー・自動車整備工場の支援に力を入れています。自動車の修理工程に通じており、鈑金塗装の現場に即した事業計画を策定します。

  • 対象製品・業種要件・中小企業要件の該当性確認(無償)
  • GビズIDプライムの取得支援(無償)
  • 調色工程の実態をもとにした事業計画・省力化効果の整理
  • 人手不足の説明、労働生産性・賃上げ目標の数値整理

報酬は着手金55,000円(税込)と、成功報酬として交付決定額の15%(税込)です。不採択の場合、成功報酬はいただきません。なお、公募要領上、補助金申請に係る申請代行費は補助対象外のため、弊所の報酬は補助金の対象になりません。また、交付申請は事業者さまご自身が主体となって行う制度です。

省力化補助金の制度全体については「省力化補助金カタログ型の解説」、行政書士に依頼する場合の流れは「省力化補助金の申請を行政書士に依頼するには」もご覧ください。

出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業省力化投資補助事業(カタログ注文型)公募要領」(令和8年3月19日改訂)、同「カタログ注文型 交付決定概要(2026年8月末時点)」、中小企業省力化投資補助金 製品カタログ(2026年10月時点)